おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密

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今回も金融関係の書籍のご紹介をさせて頂きます。

著者は高井浩章氏です。

こちらの書籍は、中学生に対する半年間での金融や経済の授業という小説形式で解説されています。

大変読みやすいので、こちら読んでご興味があれば是非実際に本書を読んでみて頂ければと思います。

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はじめに

【お金を手に入れる6つの方法】

1.稼ぐ

2.盗む

3.貰う

4.借りる

5.増やす

6.作る

今回はこのうちの1-3についてがメインコンテンツです。

さて皆さんは『稼ぐ』『貰う』『盗む』の違いが説明できますか?

意外と言葉で説明しようとすると難しいですよね。

これは、我々日本人がお金について学ぶ機会が少なく、自主的に勉強する人も少数派だからかもしれません。

最近ではまだマシになってきている風潮ですが、どうしても日本では『金儲け』≒『ネガティブ』なイメージが強いです。

経済や金融、投資と言った話は敬遠されやすい話題の一つであります。

しかし、お金の話というのはやはり生きていく上で重要ですし、汚くもなければそう難しいものでもないのです。

全ての人にとって『お金』との関係は切っても切れないものですので、勉強しておいて損はないかと思います。

人生『お金』だけではありませんのでのめりこみすぎる必要もありませんが、重要なことには間違いないので、あまり敬遠せずに適度に学んでいきましょう!

それではよろしくお願いいたします。

『稼ぐ』と『盗む』の違い ~リーマンショックから学ぶこと~

これらがしっかりと説明できないということは、この2つの違いが自分の中でしっかりと定義づけされていないからです。

本書では『その仕事が世の中の役に立つか否か』で定義づけしています。

稼ぐ=人の役に立つ仕事

盗む=人の役に立たない仕事

では人の役に立つとはどういうことなのか?

ではここで、銀行について考えてみましょう。

銀行は世の中の役に立っているのでしょうか?

銀行の役割としては

①預金は盗まれる心配がなく安全

②そのお金を個人や企業に貸し出す

つまりお金のある人(企業)とない人(企業)をの橋渡しをする『重要な仕事』である

ただその仕事の全てが役に立っているかと言われるとそうでもない

例えば『リーマンショック』(日本でしかこの呼び方は通用しないようですが)

リーマンショックとは2008年米国大手銀行「リーマンブラザーズ」が経営破綻

次はどの銀行が潰れるのか⁇というパニックで金融システム全体が滞った事件

なぜ破綻が起こったのか?

この事件は最初は通常の審査を通過した消費者にのみ融資していた住宅ローンが低所得者に対しても、無理な住宅ローンを融資しまくるようになった。

これは住宅価格が右肩上がりであれば、最終的に住宅を売れば問題なかったのですが、住宅価格が下がり始めたことで、ローン返済が不可能になる人が急増したのです。

更に欧米の大手銀行は無理な住宅ローン融資だけでなく、この債権を『証券化』していたのです。

※証券化:住宅ローンなどをまとめてペーパーカンパニーに売却し、それを担保にペーパーカンパニーが債券等の投資商品を発行すること

『証券化』により、自分たちが負うべき債権を世界中の投資家にばらまいていたのです。

証券化自体が悪ではありません。

貸金が本業である銀行が貸し倒れのリスクを投資家に押し付けていたことが問題でした。

証券化商品を買うこと自体は、債券と同様に利息などの利益を得ることは出来ますので、投資であることには変わりありません。ちゃんと中身を精査していれば防げたかもしれない問題でもあった訳です。

しかし、それを差し引いてもここまで悪質な債券を証券化してバラまいた銀行の罪は重いと筆者は言います。

住宅価値が異常に上がり続けたバブル状態だった数年間にこのような取引は数多く行われました。

このような状態は、本当の価値が非常に分かりづらい状態になり、クズ債券でも値が付き何兆円分にも膨れ上がってしまったのです。

そして、そのバブルが弾けた…これが『リーマンショック』です。

つまりいつ破綻してもおかしくないような危ないことをしていて、結局ダメだったというだけの話なのです。

これを聞いて『なぜ銀行はそんな危ないことをやっていたの?』と思いますよね?

これは、結局は『銀行が儲かるから』なんです。更に言うと、銀行が儲かる以上に中で働いている銀行員が儲かるのです。実際に融資するのは銀行員ですしね。

日本人には分かりにくいですが、米国企業は出来高で報酬が得られることが多いので、このような危ないことをしても成果を上げれば多くのボーナスが貰えるのです。

例えば、米国某大手銀行の役員はリーマンショック直前に数十億円ものボーナスをもらっていたと本書には書かれています。

これ以上に会社も儲かっている訳ですが、やはり実際に動いているのは会社ではなく会社員ですので、自分の利益のためにやっていたと思ってしまいます。

実際にこの事件で銀行同士だけでなく、企業や個人も融資を受けられない状態になったため世界恐慌の一歩手前まで行ったのですが、政府の介入で金融システムをぎりぎりで支えたおかげで持ちこたえたのです。

ただ、この政府のお金というのは『税金』(国民のお金)です。

危ない経営をしていて、上手くいっている間は大儲けして負けたら国民のお金で助けてもらっている。

もちろん全ての金融機関、そしてそこで働く人がそうだという訳ではありません。

大部分の関係者は『人の役に立つ仕事』をしているのです。

しかし、一部の人が悪行を働いていた。

そんな一部の人が招いた経済危機なのに、当事者である銀行員が声高に『我々を助けないと世界経済が大変になります』と政府の助けを求める。

この銀行の仕事は役に立っているのでしょうか?

これを考えるには、現代社会の構造を考える必要があります。

今は米国を始め、主な国々は一部を除き『資本主義』であります。

資本主義の土台は、社会に貢献したことに対して正当な評価を受ける事です。

役立つ人・企業に対してちゃんと対価が払われるといった仕組みです。

この根幹を支えるのが『市場』です。

市場とは売り手と買い手が出会い、モノやサービスの価値に折り合いをつける場所です。

先ほどのような一部の銀行の行為はこの市場(根幹)を腐らせてしまいます。

価値のないものをばら撒き、富の分配を歪めているということです。

これが社会全体の不平等感・不満を招き経済効率が落ち、信頼も落ちます。

だからこのような銀行の仕事は『役に立たない仕事=盗む』と言えると筆者は述べます。

『貰う』と『盗む』の違い

これについて話す前に、まず国内総生産【GDP】とは何かという話が書かれています。

GDPは各国の中で作られてモノとサービスをすべて合わせてもの。

誰かがお金を払ってモノやサービスを買えばGDPは増える。

経済が成長するには、生み出すモノやサービスの量が増えることが重要である。

また、GDPは「一人当たりGDP」×「総人口」に分解できます。

よって、GDPは一人一人が生み出すモノやサービスを増やすか、人口が増えることで増加します。

ここで一人一人が生み出すモノやサービス(富)が増えることに着目すると

『稼ぐ』≒一人当たりGDP以上に価値を生み出している人と捉えられます。

『貰う』≒一人当たりGDP以下の価値しか生み出せない人と捉えられます。

この考えだと、国民の多くは『貰う』人になってしまいます。

一番分かりやすいのは「生活保護」の人ですね。

ただ、それは悪いことではないと筆者は言います。

この考えは「富を生み出す」「お金を増やす」という観点から切り分けたものだからです。

『稼ぐ』のが偉いわけじゃない。

誰が富を増やすかだけを切り取って感がるとこうなるというだけの話です。

では何が悪いことなのか?

それが『盗む』人なのです。

『貰う』も『盗む』もGDPを下げる働きがありますが、この2つの決定的な差は「合意の有無」であると書かれます。

親の財布から1万円コッソリ盗むのと、おねだりして1万円貰うのは、結果として親の財布から1万円減るのは同じですが、この差は合意の有無でしかないということです。

生活保護であれば、正当受給者は『貰う』、不正受給者は『盗む』に値する。

3つをまとめると

『稼ぐ』と『盗む』の違いは経済にプラスかマイナスか

『貰う』と『盗む』の違いは合意があるか否か

『お金持ち』は汚いのか?

『稼ぐ』と『貰う』の違いが曖昧になってきますが、本書で一番簡単な考え方は『貰う』は『稼ぐ』でも『盗む』でもない人とされています。

『貰う』職業の代表例としては、警察官や消防士などです。

お金儲けには直接繋がらないが、人の役に立つ大事な仕事です。

高齢者など現役引退した人もここに当たります。

『盗む』は論外ですが、ここに優劣は存在しません。

社会では自分の役割の持ち場を守ることが重要であります。

ではお金を正しく稼ぎ、結果お金持ちになった人は汚いのでしょうか?

こういった話が出る背景には、経済的な不平等つまり貧富の格差が隠れているからです。

稼いでいる人というのは事業や株式に投資をしている人です。

これはリスクを取っているので問題がないのですが、これらの行為は十分な元手(種銭)がないと入り込めないという問題があります。

『r(資本収益率)>g(経済成長率)』

世界中のデータを研究した経済学者であるピケティが示した不等式で、これが意味するのは「経済全体の成長よりも投資で儲かるペースの方が早い」という主張です。

どういうことかというと、投資を出来るようなお金持ちの方がどんどんと豊かになるということ。つまり貧富の差はますます広がる一方であるということです。

他にも税金の問題などでも貧富の差は広がっていきます。

お金持ちは税金にも詳しくギリギリの節税をするが、庶民はよく分からないままノーガードで税金取られ放題ということです。

政治的な混乱の根幹はこの『格差問題』であると筆者は言います。

おわりに

本書はもともと筆者の家族内での読み物用だったそうです。

筆者の長女が小学5年生の時に連載を開始し、子供の金融のために書き続け7年の連載にも及んだ作品です。

お子様に飽きさせないための構成の為、非常に読みやすい形になっているのですね。

またこちらの本もkindle unlimited対象作品です。

契約者の方は今後のリーディングリストに入れてみて貰えればと思います。

それでは本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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