人的資本を考慮したアセットアロケーション

投資

現在は、投資ブームになりつつあり「つみたてNISA」や「iDeCo」の開設者も徐々に増えていっているようです。

これらの制度は基本的に『投資信託』での運用となり、中でもインデックス型の商品での運用がメインになると思います。

このインデックス(指数)を選ぶ際に困るポイント

・全世界か全米か

・債券など他の資産クラスも入れるためにバランス型はどうか

・日本市場を入れるか否か

この辺りがよくあるお悩みかと思います

上の2つに関しては以前の記事でもお話しているので、下にリンクを貼っておきます。

今回は、3つ目の日本国内の金融資産をポートフォリオに組み入れるか否かという点についてyoshi的見解をお話していきます。

あくまで個人的な意見ではありますので、皆さんの投資方針を決める際の参考にしていただければと思います。

こちら本記事を書くにあたり参考にさせて頂いた、橘玲氏の著書です。

[橘玲]の黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 (講談社+α文庫)

僕自身、国内金融資産への投資は人的資本の観点から不要だとは思っていましたが、ぼんやりした考えで論理的に解説することが出来ない状態でした。

本書を読んで、自分の考えと一致する部分も多く大変参考になったので、内容を交えながら書いていきます。

それではよろしくお願いいたします。

個人投資家のアセットアロケーションと投資戦略

個人投資家であっても、アセットアロケーションは意識する必要はあると考えます。

ただ、一般的な個人投資家は本業を持った上で投資も行うという人がほとんどであり、その考え方は機関投資家のそれとは異なってきます。

主なアセットアロケーションは株式・債券・コモディティ(金や石油など)・不動産・現金などがあります。

機関投資家は個人から集めたお金を、決めたアセットアロケーションに合わせて配分していくわけですが、我々の個人投資家の場合は見えにくい資産が多くあるのが注意点です。

現金預金や株式などの金融資産は見えやすいですが、マイホームのある人の場合は、その持家や土地価格などの時価を把握している人は少ないです。

そして『人的資本』は最も分かりにくい資産であると思います。

若い世代は株式100%で運用し、引退時期が近づいたら安全資産である債券などにシフトしていくというのが基本戦略としてよく言われます。

ただし、よく言われるからそれが絶対に正しい投資法という訳ではありません。

人的資本の考え方

経済学的に『人的資本=労働価値』と考えます。

この人的資本を労働市場に投資することで、我々はその日、その月の配当(給与)を得ています。

この人的資本のおよその価値は、年収や生涯年収から長期金利を割り引くことで概算を出すことが可能です。

今回は一例として、平均年収500万円 残勤務年数30年間 と仮定

生涯年収:1億5000万円

長期金利が2%で現在価値を割引くと

現在価値:約8300万円

実経済に合わせるのであれば、長期金利だけでなくその他リスクを考え割引率5%で計算すると

現在価値:約3500万円です。

参考サイト:現在価値(PV)の計算 – 高精度計算サイト (casio.jp)

ここでは間を取って現在価値は『5000万円』とします。

強引な考え方かもしれませんが、これは我々一般的なサラリーマン投資家は既に5000万円の資産を国内に投資しているようなものです。

日本であれば突然の解雇も今のところは少ないですし、万が一倒産しても失業保険や生活保護などの制度もあるので、サラリーマンや公務員は債券のような安定資産と考えられます。(サラリーマン債券)

また、まだ日本企業の賃金は年功序列の所が多いですし、退職金制度もあるので晩年になっても人的資本が落ちにくいとも言えます。

この辺りは個人の勤務先や働き方によって差が出てくるので、個別に人的資本の価値を考える必要性はあります。

人的資本を考慮したアセットアロケーション

国内市場に既にサラリーマン債券として5000万円もの投資をしている個人投資家。

金融資産が500万円でそれを株式投資運用したいとなった時に、株式比率は10%程度ということです。

また地域比率で見ると、株式まで国内にしてしまうと全てが日本になってしまいます。

保守的なヘッジファンドでも株式比率は30%程度は入れることを考えると、あまりにバランスの悪い構造になってしまいます。

人的資本を考慮すると、金融資産の100%を海外株式や海外REITに投資することは理にかなっていると考えるわけです。

『人的資本を使って国内に投資し、金融資産にレバレッジをかけて世界株ポートフォリオに投資する』

私の提唱する「経済学的に正しい投資法」は狂人の戯言に聞こえるかもしれない。

しかし、いつの時代も真理は狂気と紙一重なのである

参考文献より引用

まあさすがにこれはなかなか怖いですよね。(僕はレバレッジ効かせてますが、信用取引ではないですし)

個人的には『人的資本の現在価値と同額程度』までは、金融資産への投資は株式100%で問題ないかと考えます。(場合によっては保有不動産の純資産価値も含める)

その株式に関しても国内市場ではなく、海外市場への投資がいいとも考えます。

これは為替リスク(円のリスク)の関係からの考えです。

5000万円のサラリーマン債券は日本に住む人であれば『円』で配当(給与)を稼いでいます。

アセットアロケーションを細かく考えると、円やドル・ユーロなどの通貨も分散して持っておく必要があります。

金融資産を国内株式に投資しても、『円』の比率が100%になります。

投資信託であっても海外株式を持っているということは、その地域比率に合わせた外貨を持っているのと同等の意味を持ちます。

SBI・全世界株式インデックス・ファンド

ここにも『円』が入ってくるので、個人的には『MSCI KOKUSAI』(全世界除く日本)を推奨している訳です。

保有通貨は『円とドル』だけでも十分だと考えるなら、米国株インデックスもありだと思います。

まとめ

『人的資本を国内のサラリーマン債券に投資しているから、これ以上を国内金融資産に投資する意味は分散の観点から不要である』

と考えるyoshiの考えを、橘玲氏の著書に助力を頂きながら解説させて頂きました。

GPIF(日本の年金積立金の運用機構)のポートフォリオは時期によっても異なりますが、今は国内50%、海外50%を目標にしています。

年金機構は保守的運用の代表格ですので、これに合わせるにしても国内投資は50%であるということです。

よって「人的資本+保有不動産」の金額に達するまでは、海外株式100%で問題ないと考えます。

また、長期で海外株式を積立投資して保有することで、取得価額の平均化からリスクは下がることを考えると、個人的には債券比率を増やすタイミングはなかなかないかなとも思います。

特に今は低金利時代なので、強くそう思う訳ですが、これが債券利回り3-5%くらいになってくれば検討できるかなとも思っています。

おわりに

いかがだったでしょうか?

冒頭でもお伝えしたように、今回の内容は、あくまで僕の個人的な考えの投資手法です。

これが正解とか最適解だとは思いませんし、反対意見や、ここはこうなんじゃないかという意見があって当然だと思います。

特に個人事業主さんなどはまた違った考え方をしないといけないと思いますし、外資系企業の方もまた別視点で考えないといけないですね。

今回はあくまで国内資本企業のサラリーマン投資家である、僕の立場からの考えです。

(yoshiは医療法人所属なのですが、多分サラリーマン投資家ですw)

それぞれの立場・状況毎にしっくりくる投資手法があると思いますので、それを考える際の参考になれば幸いです。

それでは、本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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