投資戦略の王道としては、現状では『インデックス投資』が挙げられると思います。
それと並んで人気なのものとして『高配当株投資』があります。
インデックス投資については過去にも触れて来たので、今回はこちらの『高配当株投資』にスポットを当てていこうと思います。
メリットやデメリットを確認した上で、最後に「インデックス投資と高配当株投資のどっちがいいのか」ということについても触れてみようと思います。
それではよろしくお願いします。
高配当株投資のデメリット
普通はメリットからの解説だと思いますが、まずはデメリットから挙げてみます。
×値上がり益は期待薄
一般的に配当金とは創業してから経営が軌道に乗るまでは出せませんので、高配当企業は基本的には成熟企業です。
収益やキャッシュフローが安定し、内部留保が大きくなってから初めて配当を出します。
よって成長企業というよりは、安定的な経営となっている企業が多いですね。
結果として、グロース銘柄などに比べて値上がり益はほとんど期待できません。
基本的には配当金再投資を行うことで総資産が増えます。
特にETFではバリュー銘柄の強気ターンでない場合は期待薄です。
ただ中にはある程度の成長も見せながら、配当も増配している優れた企業もあるので、そういった超優良個別銘柄に厳選するのも手です。
×逐次税金が掛かる
これは税金の繰り延べが出来ないということですね。
配当を得た時点で一部利確した状態となり、その度に税金が掛かってきます。
これが値上益であればそのまま運用することになるので、税金分も繰り延べて運用出来ます。
これは複利効果を最大限に活かすことが出来るので、長期の資産形成には有利となります。
逆に言えば、高配当投資はキャッシュフローの向上にはいいが、長期の資産形成には不利と言えます。
目的が将来的な資産形成であり、配当金も再投資するのであればインデックス投資の方が少し有利かもしれません。
もしくは投資信託(楽天やSBIのVYM)でもいいかもしれません。
×減配リスクもある
ETFでも減配があり得ます。すると株価の下落を招き投資元本の目減りの可能性もあります。
また個別銘柄で保有している場合は保有し続けるべきか、売却すべきかの判断する判断能力が必要になります。
初心者&初級者さんには個別株投資は難しいことも多いです。
×高配当株投資でも株価の下落はある
たまに高配当株投資は配当金を考えれば確実に資産が積みあがっていくので、暴落時でも資産は減らないという趣旨の意見も見ますがこれは誤りです。
配当金再投資だとしても、株価が下がり投資元本を下回ればそれは資産の減少です。
上記のように減配発表があれば下がる可能性は高いです。
が、この時も長期目線で期待が持てるならば買い増しチャンスとも捉えられます。
配当金を加味した総資産と元本の関係に注目しておくことが重要ですね。
×個別銘柄を選択する場合は『高配当=良い銘柄』という訳ではないことを注意する!
配当金はあくまでも『企業の利益を株主に還元するもの』です。
過去や今は高配当銘柄であっても、沈みゆく企業になる可能性もあるのでリスクを分散する必要があります。
配当利回りが5%を超える場合は要注意!
8%を超えるものは減配や倒産も視野に入れておくべきです。
×買いタイミングや資産管理が初心者には難しい
経済成長に合わせて長期的に右肩上がりが望めるようなインデックス投資であれば、定額積立などで淡々と行っていけば、平均的なリターンが期待できます。
しかし、高配当株投資は個別銘柄などは特定のセクターであってもその値動きは様々です。
高配当株投資はアクティブ投資の分類になります!
ゆえに買い増しタイミングや保有比率などが重要になります。
逆にタイミングを正しく取ることが出来れば、値上がり益も同時に得ることも可能です。
これがそこまでシビアでないのは高配当ETFですので、最初はETFから入るのがいいと思います。
高配当株投資のメリット
先にメリットを示すと、そこだけをかいつまんで始めてしまう人もいそうなのでデメリットから示してみました!
では次に高配当株投資のメリットを挙げていきます。
○分離課税が有利
累進課税でないので、給与を増やすよりも有利と言えます。
日本での税金は一律で20.315%(米国株だと現地課税もあります)
所得税は最大で45%にもなります!(課税所得4000万円以上の話ですが)
○不動産などリアルアセット収入より手間暇が掛からない
株式などの伝統的なペーパーアセットであれば、不動産や太陽光パネルのようにハード面でのメンテナンスの手間が不要です。
これがETFや投資信託だと更に手間が少ないとも考えられます。
と言っても、不動産投資などのリアルアセットの方が向く人もいると思いますので、そちらがダメという話ではありません。
○安定的な不労所得で再現性も高い
米国の連続増配銘柄などを選べば、減配リスクは低いです。
逆に日本株では自分で選ぶのが難しいです。(ない訳ではないが日本株こそ上級者向けの印象)
もちろん絶対ではないので、一回選べば終了ではなく、ファンダメンタルズ分析を定期的に確認することは大事です。
これは個別銘柄での話で、ETFや投資信託ならこれも原則は不要になります。
また不況時にも底堅く、配当益もあるので株式市場の低迷期にも精神的に安定が見込めます。
○FIRE(経済的自由)を目指す人にとっては目標が立てやすいか
ある程度配当利回りは予測が可能なので、自身の年間の必要生活費を割り出せば、配当利回りから必要な資産額の計算が立てやすいです。
また、年間配当金が徐々に増えていくことで、目標到達度が可視化でき、モチベーションを保つことにも繋がると思います。
高配当株投資の例
高配当株投資の代表的な方法としては以下の投資対象が挙げられます。
・米国高配当ETF
・米国高配当投信(※国内の高配当投信で推奨できるものはない)
・高配当個別株(国内外)
個人的にはまずはETFがベターな選択肢だと考えます。(VYM・HDV・SPYDなど)
「分配金を再投資したい」「少額で定期買付したい」という場合であれば投資信託も選択肢には入るかと思います。
個別銘柄に手を出すのは、その間に勉強していく方がいいと思います。
組入れ上位銘柄などの値動きやファンダメンタルズ分析を学び、今後の投資アイデアの糧にしていくのがいいでしょう。
連続増配銘柄であっても、それは過去実績であり今後も永遠に増配するとも限りません。
ベストなのはこれからの連続増配銘柄を探し出すこととも言えます。
しかし、これを見極めるのが難しいのでETFを活用するのもいいと思います
VIG・SCHD・DGRO・DGRWなどは高配当ETFではありませんが、成長と連続増配の両方を見込めるETFとも言えます(バランスが良すぎて中途半端とも言えますが・・・)
投資スタイルについて
『インデックス投資』や『高配当株投資』、他にも『バリュー株投資』『グロース株投資』など様々なスタイルがあります。
そもそも『投資スタイル』は人それぞれ多様ですし、正解はありません。
個人の目標や好み、年齢、運用期間、職業、年収、家族構成、現保有資産、ライフイベントなど様々な要因によってベターなスタイルは変わってきます。
『目標』に対して全く的外れなスタイルを取ってしまう場合は悪手だと思います。
またその投資商品に対して十分な知識がないのに、大きなポジションを取るのもおススメしません。
今はインデックス投資が流行っていて、確かに脳死状態でも稼げてしまうかもしれませんが、投資目的であったり、投資商品や長期投資の本質的な部分を理解して行って欲しいとも思います。
ここが分かってくると、短期での値動きでうろたえることもなくなるかと思います。
高配当株投資に向く人
FIREが目的の場合は高配当株投資は目標達成度が見える化するので、最適解の一つになり得ます。
生活支出を賄える水準の配当金を最初に設定しておけば、現実的な配当利回りと照らし合わせて目標金額も設定できるし、年々配当金が増えていく過程も実感でき、モチベーションを保てるでしょう。
インデックス投資などの含み益は利確するまではあくまでも幻です。
それに対して配当金は目に見えるキャッシュフローが得られます。
時価総額の資産額が増えることよりも、現実的な配当金(フロー)の方が合う人は高配当株投資がいいと思います。
もちろんこれを再投資するか否かは個人の考え次第です。
インデックス投資の懸念点
インデックス投資で資産を増やし定率や定額で取り崩すのとはどっちがいいのか?
巷ではこちらの方が主流になっていると思います。
ここも好みのスタイルの問題にはなってくるでしょう。
資産を取り崩していく方法の最大の敵は『下落相場での不安』だと考えます。
暴落時に毎年定率で取り崩していけるのか?逆に狼狽して全部売ってしまうことはないか?
など不安を抱える人もいるかもしれません。
人間は貯めた資産を減らしたくないという欲求がありますから、実際にそういう状況になってみて分かるかもしれません!
もちろん、全ての金融資産を株式などの投資商品で持たず、暴落時用に現金ストックを用意できるような大きな資産形成が完了していれば問題ないと思いますが、長い老後生活に対してギリギリの資産形成しか出来ない場合も多々あると思います。
そうした場合に本当にインデックス投資での取崩方法を貫き通せるか?
自分の性格などと照らし合わせて、再度考えてみて欲しいと思います。
インデックス投資から高配当株投資へのスイッチ
とりあえずインデックス投資で資産形成をして、あとで高配当株投資に乗り換えるのは?
個人的にはありだと思います。
つみたてNISAの終了後に高配当ETFに買い替えるというのも手段の一つかもしれません。
これであれば運用利益も非課税でスイッチング出来ますしね!
ただし、インデックス投資から高配当個別株となると話が変わります。
これはインデックス投資からアクティブ投資に一気にシフトチェンジすることになるので、インデックス投資の期間中にしっかり勉強できる人で、かつ小さいポジションをとって高配当個別株投資を経験しておくことが重要だと思います。
将来的に取崩しが不安になるかもしれない人は、慣れる段階を含めてですが検討余地はありそうです。
最後に
結局ですが、『個人の目標と時間軸が特に重要である』ということです。
ここがはっきりしていないと、水着を着て登山に向かうようなものです。
あなたの目標が、短期的にお金持ちになりたいならインデックス投資も高配当株投資もどちらも最適とは言えない訳ですしね。
(だからと言って、短期的にお金持ちになる投資手法の成功する確率は低いわけですが…)
また目標が『長期の資産形成』であってもインデックス投資や高配当株投資のどちらかにしなければならないとか、個別銘柄投資をやってはいけないということでもありません。
全てを組み合わせてもいいし、他の資産を入れてもいい。
グロース株投資もバリュー株投資もIPO銘柄もmeme株だって組入れたっていいんです。
結局は投資商品や資産クラスは『手段』ですので、目標や期間を明確にする方が重要になってきます。
要するに『投資目的を明確化し、それぞれの時間軸にあった投資手法や商品に分散する』ということです。
投資スタイルは数値化して優劣を付けられるものでなく、それぞれの『個性』ですから!
どの道が最適だったかは将来になってみないと分かりませんし、『インデックス投資』と『高配当株投資(ETFや投信)』に限って言えば、ゴールできる可能性は高い部類のモノだと思います。
(リターンもそこまでの差は出ないと思います)
まずはある程度安定した投資手法の中で、色々組み合わせてみて、最終的に自分の好みに合った投資スタイルを確立することが初級者脱却の第一歩かなと思います。
長くなりましたが、今回は以上です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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