バーベル戦略とは

投資

こんにちは!yoshiです。

本日は投資戦略について紹介していくシリーズです。

今回は『バーベル戦略』についてお話していきます。

『バーベル戦略』はイギリス人投資家 ナシム・ニコラス・タレブ氏が提唱する戦略です。

タレブ氏は金融デリバティブの専門家で、ウォール街でデリバティブトレーダーとして長年働き、その後に認識論の研究者・作家として活躍しています。

タレブ氏は、2007-2008年の金融危機の局面で数百万㌦の利益を上げたことで一躍注目を浴びました。

そんなタレブ氏の著書である「ブラック・スワン:不確実性とリスクの本質(上下巻)」などで提唱されています。

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ブラックスワン

ブラックスワンってたまに聞きますが、何のことだろう?と思う方もいると思います。

金融におけるブラックスワンとは、マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象のことです。

これは、全ての白鳥(スワン)は『白』と信じられていましたが、オーストラリアで黒い白鳥(ブラックスワン)が発見されたことにより、鳥類学者の常識が大きく覆されました。

これにちなんで、確率論や従来の知識や経験からは予測できない極端な事象が発生し、それが人々に多大な影響を与えることをブラックスワンと呼んでいます。

例えば、『ブラックマンデー』『ドットコムバブル崩壊』『英国EU離脱』『コロナショック』などです。

こういった状態に陥ると、投資家はパニックを起こし相場が大きく変動しやすくなります。

資産を守るためにリスクオフの動きが活発になり、株式や暗号資産などのリスク資産が売られやすくなり、大きく下落する可能性が高くなります。

2022年からの下落はブラックスワンなのか?

さて、ここで今現在起きている相場の下落は「ブラックスワン」なのか?という点ですが。

結論から言うと、僕は「それは違う」と考えます。

今回の下落は、パンデミック禍で行われた金融緩和の縮小(テーパリング)と金利上昇懸念が大きな要因です。

この政策はFRBから徐々に発表されていましたし、投資家も十分に推し量れる材料でした。

ただ2021年末までは「テーパリング」「金利上昇」はもう発表されてるんだから織り込まれてるよ!っていう意見も多く見られていた気がします。

しかし年が明けて、米国のインフレ加熱と共にテーパリング&金利上昇が現実味を帯びてきたところで、一気にお気楽ムードから悲観ムードに転換したイメージです。

分かり切ったことであっても、上昇局面にいると、これから下落局面が来るというのがなかなか理解しにくいということがよく見えた時であったと思います。

バーベル戦略

こういった下落・調整局面でこそ『バーベル戦略』は検討すべき戦略であると考えます。

長期投資で大事なのは『握力×時間×入金力』です。

握力×時間=継続力とも言えます。

何より市場から退場せずに淡々と長期投資・積立投資を行っていくことが大切です。

精神的にパニックになってしまうと、投げ売りしてしまう可能性も高まるため、精神的に安心できる戦略は非常に有効だと思います。

前置きが長くなりましたが、『バーベル戦略』とは

ハイリスク・ハイリターンの資産とローリスク・ローリターンの資産など対照的な資産を組み合わせる投資手法

タレブ氏は、ポートフォリオの85%〜90%を安全性の高い資産に投資し、残りの10%〜15%をリスクの高い投機的資産に投資する手法を推奨しています。

株式投資の場合は、『大型株式:小型株式』『バリュー株:グロース株』など両極端の対象を組み合わせた投資戦略を指します。

ちなみに債券投資の場合は残存期間の短い債券と長い債券を組み合わせ、中期債券に投資しない戦略ですが、資産形成期においてオール債券投資は向かないと考えますので参考程度です。

過去検証

それでは何種類かバーベル戦略の過去検証をしてみましょう!

今回は株式のみの検証です。

期間は2016年初~2022年1月までで、ベンチマークは全て『S&P500(VOO)』です。


①『大型株式(OEF):90%』『小型株式(IWM):10%』

Backtest ETF Portfolio – ETFreplay

②『バリュー株式(VTV):90%』:『グロース株式(VGT):10%』

Backtest ETF Portfolio – ETFreplay

こう見ると、そんなにボラティリティに差が出ないですね。


趣旨がズレるかもしれませんが、もう少し攻めた投資対象で検証してみます。

➂『S&P500インデックス(VOO):90%』:『NASDAQ100(QQQ):10%』

Backtest ETF Portfolio – ETFreplay

この辺が長期投資ではいいバランスかな?とは思いますが、下落局面で耐性があるかと言うとそうでもないですよねw


株式だけだといい感じのものがないので債券も入れた検証です。

④ 『米国トータル債券ETF(BND):90%』:『S&P5003倍ブルETF(SPXL):10%』

Backtest ETF Portfolio – ETFreplay

トータルリターンという点では劣りますが、下落耐性という点では強いと思います。

ハイボラティリティ・ハイリスクハイリターンよりも、安定した値動きでそこそこのリターンを取りたい人にとってはこの辺りの組み合わせは面白いと思いました。

➄ 『米国トータル債券ETF(BND):80%』:『S&P500 3倍ブルETF(SPXL):20%』

ハイリスク資産を20%までにすると、一気にボラティリティも高まってしまいました。

これならVOO一本の方が優秀と言えますね。

結論

個人的な結論として

『結局は通常株式インデックスファンド1本でいいんじゃない?』

元も子もない結論で申し訳ないですが、こう思ってしまいますね。

もちろん株式インデックスだけじゃ不安だという場合には、

バーベル戦略よりはバフェット氏の遺言(?)のように

『S&P500などの株式インデックスを90%、残り10%を短期米国債に回しなさい!』

こちらの方がしっくりくるかなと思います。

バーベル戦略は投資だけじゃない

ここから少し投資の話からは外れます。

このバーベル戦略を考えていて、

これは実は投資よりもキャリアの方が考えやすいのではないかと思いました。

バーベル戦略をキャリアに応用して考えると、

『本業で安定した給料を稼ぐ』:85-90%

『副業で積極的に色々とチャレンジしてみる』:10-15%

ここで大事なのは副業は『日銭を稼ぐため』ではなく、ブラックスワンで本業に何かあった時の為に、『リスクヘッジにするため』にするということです。

そして副業の方が安定して、稼ぎも大きくなれば、そっちをメインにすることも可能ですからね!

ブラックスワンがブラックスワンたる所以は予測が出来ないからです。

その稀な事象の確率を計算するのではなく、その事象が起こった時に及ぶ影響を見極めることが大切ということです。

会社員であれば、殆どの場合のブラックスワンは倒産や解雇で収入がゼロになることだと思います。

この時にバーベル戦略をとっていれば10-15%は収入減が残るかもしれないし、そこが大きく成長する可能性もゼロから始めるよりは高まっている訳です。

副業スキルのお陰で転職チャンスが高まる可能性も高まるかもしれません。

ただ、あくまでこの戦略は安定的な本業がある人でないとダメですし、多くの戦略の中の一つでしかありません。

しかし安定した企業にあったとしてもその一社員に何が起こるかは誰にも分かりません。

何も考えずに本業のみに尽力するよりは、ブラックスワンに対して少しでもヘッジしていくことは重要ではないでしょうか?

こういった点から、僕は投資よりもキャリアにこそ、この戦略は重要ではないかと思いました。

おわりに

最後は少し投資以外の話になってしまいましたが、これは自己投資にも繋がる話であると思います。

金融資産の投資も分散が大切ですが、今後はキャリアについても分散が大切になってくると考えています。

色々と知識の幅を増やし、スキルを高めていくことで人的資本もしっかりと運用していきましょう。

ということで、今回は以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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