先進国と新興国

投資

つみたてNISAなどでインデックス投資を選ぶときは、大きく分けて6種類あります。

【全世界】【先進国】【全米】【日本】【新興国】【バランス型】

全世界の中に米国や日本といった先進国や、ブラジルや中国などの新興国も入っている訳ですが、この先進国とか新興国ってどういう基準で分けられてるの?って疑問になる方も多いと思います。

今回は、この先進国と新興国について解説するとともに、以前も記事にしましたが、
新興国投資のリスクについても再度、少しお話していこうと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。

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先進国の定義

米国や日本、欧州の有名国などは先進国のイメージがありますよね。
けど、中国やロシアって日本よりも大きいし、最近では中国のGDPが日本を抜いて世界第2位になったことを聞いたことをある人も多いと思います。
でも中国もロシアも『新興国』に分類されています。

では、先進国の定義とは何なんでしょうか?
この答えはいまいち曖昧でした。

定義①:経済協力開発機構(OECD)加盟国37か国を先進国として扱う。(2020年9月現在)
    OECDは発展途上国に対して資金を融資する国々であるが、ここには国際的には
    先進国として扱われることのない「トルコ」や「メキシコ」も加盟しています。

定義②:国際通貨基金(IMF)が定めるもので、30か国を認定している。

定義③:日本の内閣府の設定はOECD加盟国のうち、
一人当たりGDPが1万米ドル以下の国(チリ、トルコ、メキシコ)を除く。とする

発展途上国の定義

新興国の前に、発展途上国の話をしないといけません。
発展途上国は簡単に言うと、先進国以外の国々です。また、OECDが発表している「ODA(政府開発援助」受取リスト」に入っているかどうかでも定義されます。

OECDでは3年毎にリストを発表していて、これに記載されている国は経済発展の為の援助を受ける側になるので、発展途上国と言えると思います。

リストの基準は以下の2つのどちらかに当てはまる国です

①世界銀行によって「高所得国」以外に分類される国(2016年時点でGNI(一人当たり国民所得が12,235米ドル≒135万円以下の国々
②国連によって後発開発途上国に分類される国々(GNI,HAI(人的資源指数)、EVI(経済脆弱性指数)によって判断)

①はさらに3段階に分かれていて

【低所得国】GNI=1,005米ドル≒11万円
【下位中所得国】GNI=1,006~3,995米ドル≒11~44万円
【上位中所得国】GNI=3,996~12,235米ドル≒44~135万円

後発開発途上国のほとんどが、【低所得国】に分類されます。

こちらが2019年の主要な国の名目GDP及びGNIです。

ここで中国に注目すると、名目GDPでは米国に次ぐ第2位なのですが、名目GNIで見ると、日本よりも大きく下位になります。これは中国の人口が多いため、GDPからGNIに直すとこういう結果になります。
このGNIが12,235米ドル以下なので、中国やロシアは先進国ではないという訳ですね。

新興国とは

先進国と発展途上国の定義をお話してきました。
じゃあ結局『新興国』はどういう国々なんでしょうか?

ODA対象国の中に「新興国」と呼ばれる国々があります。
新興国とは、『今後の経済成長が特に期待できる国』のことで、発展段階ということで、【エマージング・カントリー】とも言われます。

経済成長が期待できるなら、新興国に投資した方が先進国に投資した方が儲かるんじゃないの?という意見もあると思います。
冒頭でもお話しましたが、以前に記事にもしましたが再度、新興国投資のリスクについて触れてみようと思います。

新興国投資のリスク

新興国投資の主なリスクは以下の4つです。

①為替リスク
②政治的リスク
③流動性リスク
④デフォルトリスク(債券の場合)

為替リスクについてはこちらの記事のチャートをご覧下さい。
ここ10年の新興国通貨はことごとく目減りしている状況です。
投資信託では、私たちは円建てで買い付けているので実感はないかもしれませんが、運用会社が投資先の通過に変換して投資を行ってくれています。
米国に投資する際も米ドルに換えて購入している訳ですが、同じように新興国に投資をするということは、新興国通貨を持つのと同じことになるのです。
よって、例え株価上昇しても円に変換するときにその貨幣価値が下がっていればマイナスになってしまうという為替リスクが大きく影響してきます。

政治的リスクは、単純ではないのですが、例としては戦争や内紛・クーデター・政権崩壊などが挙げられます。また、政治上層部の汚職・税制の不安定さ・資本規制なども含まれ、これが発生した場合は株価も為替も大ダメージを受ける大きいリスクとなり得ます。

流動性リスクは、新興国は先進国に比べ市場規模が小さいことからボラティリティも大きくなりやすく、売買希望価格での取引が成立しないこともあり、思わぬ損失が発生することもあります。特に、暴落時の売却殺到時にこのようなことが起こると大きなダメージになりかねません。

デフォルトリスクは国が国債を返済できなくなる事態のリスクです。
社債にも同じようなリスクがありますし、どちらもデフォルトに陥れば株式価格にも影響はあるので結局はダメージになりえます。

新興国投資に向くと思われる人

こう見ると新興国投資はリスクがとても大きく思えます。

しかし短期・中期的な目で見ると大きなリターンを得られる可能性も確かにあります。
但しこれには、タイミングも市場を読む力も必要であるので、上級者の投資先であると言えます。

長期的な投資とは、20年や30年といったスパンでの資産形成を目的としますが、新興国への投資は1-2年でのスパンでの投資戦略に向いているということです。

投資を始めたばかりの方などは『新興国=成長=株価も急成長』と安易に考えずに、自身の投資の目的に向き合ってじっくりと投資戦略を考えてみて欲しいと思います。

ちなみに全世界株式(水色)・先進国株式(青色)・新興国株式(オレンジ色)の比較チャートです。
こう見ると、新興国株式の低パフォーマンスが目立つとともに、その分先進国株式が全世界株式をほんの少しですがアウトパフォームしています。
もちろん今後も同じ結果になるという訳でありませんが、こういう情報もつみたてNISAで投資信託を選ぶ材料の一つになればと思います。

まとめ

今回は先進国と発展途上国、そして新興国の定義や解釈について簡単にですが解説させて頂きました。

そして、新興国への投資についても今一度考えてみました。

あなたの投資目的が長期での資産形成である場合は、現状は新興国を組み入れるメリットは少ないかもしれません。
ただ、今後もここ10年のように新興国貨幣価値が落ち続けるとも限りませんし、株式市場の成長もあるのかもしれません。
しかし、その確信が持てる材料を得られない限りは下手に手を出さない方がいいかと僕は考えます。

あくまで投資は自己責任ですので、最終判断は個人によりますが、個人的には現状はお勧めできないという話もさせて頂きました。

それでは本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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