新興国投資について知っておいた方がいいこと

投資

最近ですが、新興国株式への投資について考える機会がありました。
個人的には現状での新興国株式への投資は期待感もある一方で、まだ手を出すには危険性が高いかなという印象を持っています。

そこで新興国市場に投資をしようと思っている初心者の方が、投資する上でこれくらいは知っておいた方がいいだろうなと思うことをまとめていきます。

これは自分が選ぶファンドについてはある程度の理解が必須だと思ったからです。

あくまで僕の個人的な考えであって、既に新興国株式への投資を行っている方のスタイルを否定する訳ではないことをご了承ください。

それでは、よろしくお願いいたします。

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新興国とは

そもそも新興国とはどういった国々を指すのかというと、
一般的な定義としては、先進国と比較して経済発展が遅く、今後、特定に条件を満たすことが出来れば高い成長が見込めるであろう国々と言われます。
その代表としてBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)と言われています。
その他、トルコやメキシコ、ウクライナ・ポーランド・インドネシアなどが含まれます。

新興国の強み

新興国の名目GDPは年々上がってきていて、2000年の約6.5兆ドルから2015年には約34兆ドルと経済規模がどんどん大きくなっています。

その要因として最も重要なのが『人口増加』です。
2000年には約50億人だったのが、2030年には約70億人に増えるとも言われています。
しかも、今の先進国のように高齢者の割合が増えるのではなく、生産年齢人口(15-64歳)の増加が顕著なため、今後も経済規模は拡大すると言われます。

新興国株式の過去パフォーマンス

BlackRock:i シェアーズ・MSCIエマージング・マーケット・ETF

こちらは新興国株式指数である『MSCIエマージング・マーケット・インデックス』をターゲットにしたETF(EEM)の2003年12月~2020年までのチャートです。

2000年代はBRICsの黄金期で、今のS&P500のように多くの人が投資対象に選んでいた市場です。
2007年にピークを付け、2008年にかけて大暴落(世界金融危機)。
3年ほどかけて水準は戻してきていますが、その後は平行線といった状況です。

もちろんこのままいけば、今後に期待感はあったので僕も組み入れようかと思っていましたが、今回のCOVID-19の影響を大きく受け、今も深刻な問題になっているのは新興国であることを考えると、まだ少し待ちたいなと言うのが、僕がそう考える理由です。

新興国通貨の推移

ここ10年間を見ると、新興国の通貨は対ドルで暴落を続けています。
更に現在はCOVID-19の影響で更に暴落が加速しています。

下はBRICsの対ドル為替チャートとその他新興国通貨の為替チャートです。(画質粗目ですいません)

新興国市場の期待値

2008年の金融危機以降、米国一強が続いています。米国の経済サイクルが17年と言われていますので、そろそろ米国市場が調整期に入ってもおかしくはないとも言えます。

またS&P500のPER(※高いほど割高と思ってください)は約24倍に対し、新興国インデックスのPERは約16倍ということを考えると、底値で拾える可能性などを考えると期待感はあるようにも感じます!

このような観点から、中級者以上の投資家の方は新興国株式への参入時期を見計らっている人も多いとと思います。

ただ、今回のCOVID-19の影響で参入時期を見送る方も増えているかとも思いますね。

COVID-19が新興国へ与える影響

今年に入って、新興国の中には債務不履行(デフォルトに陥った国がちらほら出てきています。
今後も他の新興国でもデフォルトリスクは予断を許さない状況です。

なぜここまで新興国ばかりがダメージを受けているのかというと、
①COVID-19の影響で世界経済が大きく落ち込んでいる
②金融危機以降、新興国は米ドル建ての借金が増加している

①は世界全体の問題なのですが、②に関しては先ほど為替チャートを示したのですが、新興国通貨が軒並み下がっているということは、米ドルを返済するのに必要な自国通貨が年々大量に必要になってしまいます。つまり、国内での稼ぎが大きくなっても、それ以上に自国通貨の価値が落ちているので返済がどんどんきつくなってしまうということです。

新興国の現状の問題点

経済危機だけであれば、新興国のダメージもここまで深くはならなかったと思います。
今回のCOVID-19の影響は、外出規制や都市封鎖といった移動の制限により、エネルギー資源の需要も低くなり、観光産業も全く機能しなくなってしまったことが新興国への大きなダメージの原因となっています。

そのため、外貨収入が激減してしまい、デフォルトに陥ってしまうのです。

デフォルトリスクが高まる影響

やはりデフォルトリスクが高い国々への投資は機関投資家などからも敬遠されるので、一気に投資資金が流出してしまい、更なる経済市場の縮小を生んでしまいます。

このことから、今は新興国への投資タイミングではないと僕は思っています。

インフレリスク

新興国の成長と将来のリターンが直結するとは限りません。

新興国は今後も人口も増えますし、経済成長もします。

日本のかつての高度成長期のように、人口増加と経済成長が株式リターンと比例すると思うかも知れません。

しかし、実際にはそう上手くはいきません。

新興国はその成長と合わせてインフレも高くなります。

株式リターンが10%でもインフレが6%なら、結果として4%のリターンです。

また、期待されるリターンが高すぎるほど株価も高くなっており、実際に手元に残るリターンが先進国を上回るかというと、それは違うということです。

まとめ

今回は新興国株への投資について知っておいた方がいいことをまとめてみました。

①人口と経済規模は成長が見込める
②金融危機以降の自国通貨安と米ドル建て借金の影響で、株式指数のパフォーマンスは低調
③米国市場などに比べて割安感はあるが、今後の株式市場の成長は不透明
④COVID-19の影響は新興国にこそ大きなダメージがある
⑤デフォルトリスクが高まる影響

⑥インフレ率の上昇

この6点を把握した上で、今から新興国に投資を行おうとする方は考えてみてもいいかと思います。

今後、移動制限がなくなれば回復の兆しもありますし、工業関連事業は中国から他の新興国に移ってきていますので、それらの事業で回復する可能性もあります。

さまざまな要因がありますので、これが正解ということはありませんが、自分が投資する先に関しては色々な情報を入れておくこと望ましいと思います。

それでは本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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