投資信託を選ぶ際の基準の一つに『設立日から日が長いもの』が挙げられます。
その理由は
『目に見える実績から、リスクとリターンの検討がつけやすい』
『運用資産も大きくなり償還リスクが下がる』
などがあると思います。
ただ実績があるから安心とも言えません。
『売れているファンド=いいファンド』とは言えないということです。
いいファンドの定義も曖昧ではありますが、今回はリターンという実績に注目して見てみます。
それが、こちら
『フィディリティ・アジア株・ファンド』
アジア各国の優良企業や将来性の高い企業に投資するアクティブファンドです。
個人的には意外でしたが、米国系のアクティブファンドではなく、アジア系のアクティブファンドが長期で好成績を収めていました。
こちらのファンドはつみたてNISA対象ではありません。
仮に投資対象とする場合は、特定口座もしくは一般NISAをご利用の場合は使えます。
推奨という訳ではありませんが、つみたてNISAなどでインデックス運用をした上で、余剰資金を追加運用する際の参考になればと思います。
それではよろしくお願い致します。
1.日本を除くアジア諸国の取引所に上場(これに準ずる物も含む)されている株式を主要な投資対象とする
2.個別企業分析により、成長企業を選定し、利益成長などと比較して妥当と思われる株価水準で投資を行う
3.個別企業分析に当たっては、アジアおよび世界の主要拠点のアナリストによる企業調査結果を活かし、現地のPFマネージャーによる「ボトムアップ・アプローチ」を重視した運用を行う
4.原則として外貨為替ヘッジは行わない
5.MSCI ACアジア(除く日本)インデックスをベンチマークとし、長期的に該当インデックスを上回る運用成果を目指すアクティブファンド
購入時手数料(窓口のある金融機関では掛かる認識):3.3%(税込)
信託報酬:1.903%(年率税込)
設定日は1998年12月1日と22年以上の実績です。
純資産額は136.8億円で2007年あたりをピークにあまり大きな資産の流入はなさそうです。
2021年5月31日時点での基準価額は80,365円と22年間で約7倍になっています。
(※基準価格は設定当初は10,000円が基本)
ベンチマークであるMSCI ACアジアインデックスは同期間で約5.5倍なのでしっかりとその成績を上回っています。
『フィディリティ・アジア株・ファンド』の投資先です。
銘柄 | 国・地域 | 業種 | 比率 | |
1 | 台湾セミコンダクター(TSMC) | 台湾 | 半導体 | 7.6% |
2 | 友邦保険控股(AIAグループ) | 香港 | 保険 | 7.4% |
3 | サムスン電子 | 韓国 | 情報技術 | 7.1% |
4 | テンセントホールディングス | ケイマン諸島(中国) | 通信 | 5.2% |
5 | アリババ・グループ・ホールディング | ケイマン諸島(中国) | 一般消費 | 4.0% |
6 | アクシス銀行 | インド | 銀行 | 2.8% |
7 | SKハイニックス | 韓国 | 半導体 | 2.7% |
8 | 平安保険(ビンアン・インシュアランス) | 中国 | 保険 | 2.4% |
9 | HDFC銀行 | インド | 銀行 | 2.4% |
10 | JDドットコム | ケイマン諸島(中国) | 一般消費 | 2.4% |
上位10銘柄で全体の44.1%を占めています。
資産別で見ると、97%が株式で残りが現金・その他なので株式専門のアクティブファンドと言えます。
ケイマン諸島とは英国領の租税回避地として知られています。
全部が全部中国籍企業ではありませんが、多くが中国企業です。
税金対策のみでなく、中国企業の場合は海外企業からの資金提供を受けるために、ケイマン諸島で法人設立しているケースも多く見られます。
アクティブファンド同士で比較してみます。
今回は『ひふみプラス』とのマッチアップです。
と言っても設定日は異なるので、3種類比較してみます
①ひふみプラスの設定来からの比較(2012年から約8年間)

この期間で見ると、『ひふみプラス』の方が高いパフォーマンスを発揮しています。
②直近5年間の比較

この期間で比較すると、アジア株・ファンドの方がやや好成績です。
やはりアクティブファンドは切り取る期間で優劣は分かれそうです。
③楽天全米株式も含めた直近3年間の比較

直近3年間でもアクティブファンド同士ではアジア株・ファンドが勝っています。
しかし、ここにインデックスファンドである『楽天VTI』を加えるとインデックスが勝っています。
わずか3年の結果ではありますが、こういう結果を見るとやはり高い管理費用をアクティブファンドに支払ってまで運用するよりは、インデックスファンドに全力が無難では?と思いますね。
ただ、ここで重要なのは、この成績は管理費用や購入時手数料を指し引いた結果なんです。
ネット証券全盛の今と違って20年以上前は購入時手数料もガンガンに取っていた時代かと思うので、そのコストを差し引いてもこの成績は凄いと思います。
信託報酬だけでも設定来で約40%ですからね・・・。(そう考えるとえげつない)
やはり投資、特に長期投資ではコストはしっかりと考えた上で行いたいですね。
いかがだったでしょうか?
最終的には『結局はインデックスファンド(楽天VTI)推しですか?』って話になってしまいましたがw
ただこの『フィディリティ・アジア株・ファンド』は目標としているインデックスは上回っています。
本来何が言いたかったかというと、自分好みの条件を色々探してみると、これまでとは違った視点でファンド選びが出来るかもしれないということです。
インデックスファンドはもちろんいい投資手法ですし、それだけでも十分資産形成にはなり得るとも思います。
ただ、他のアクティブファンドにも目を向けてみる事でインデックスファンドの優秀さを再確認することが出来たり、もしかしたら自分の投資手法を体現してくれている、「投資してみたいと思えるファンド」に巡り合えるかもしれません。
日本の投資信託は現在6000本以上運用されていますし、新しいものもどんどん増えていっていますからね。
買うかどうかは別として、色々探してみるのも面白いと思いますよ。
また目論見書の内容を読み込むことで、投資の基礎的な部分も学ぶことは出来ると思います。そこから更に個別企業の分析などにも興味を持つかもしれませんしね。
僕自身もまた色々調べてみて、面白そうなファンドがあれば随時ご紹介してみようと思います。
リクエストなんかもあれば是非お願い致します。
ということで、本日も最後までお読み頂きましてありがとうございました。
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